変形性膝関節症の悪循環をストップ
長野市で「膝が痛い・階段がつらい」とお悩みの方へ。変形性膝関節症の痛みの仕組みと、悪循環を断つ治療の考え方を上野医院(整形外科)が解説します。
- 痛みの主な原因は軟骨のすり減りそのものではなく、滑膜の「炎症」
- 治療の土台は運動療法と体重管理。お薬・注射・手術は状態に応じて段階的に
- 早期に対策を始めるほど選択肢が広がる(保険診療・予約不要)
痛みの本当の原因「悪循環」とは?
変形性膝関節症の「歩き始めに膝が痛い」「階段を降りるのが辛い」という症状は、長年の力学的負荷によって膝のクッションである「硝子軟骨」がすり減ることで始まります。実は、軟骨そのものには神経がないため、すり減ること自体が痛いわけではありません。剥がれ落ちた軟骨の破片(摩耗粉)が関節の袋(滑膜)を刺激して「炎症」を起こすことが痛みの真犯人です。さらに進行すると、関節を安定させようと体が反応し、「骨棘(こっきょく)」と呼ばれるトゲのような骨の増殖を引き起こして変形が進行します。
立ち方・歩き方のアドバイス
- O脚傾向の方: 意識して「足の親指(母趾球)」側に少し体重を乗せることで、膝の内側に集中する負担を外側へ分散させます。
- X脚傾向の方: 逆に「足の小指」側を意識して立つことで、バランスを整えます。
悪循環を断つ安全な運動療法
痛いからといって動かさないでいると、太ももの筋肉が衰え、さらに膝への負担が増す「悪循環」に陥ります。当院では、関節を曲げ伸ばしせず、軟骨を擦り減らさずに太ももを鍛えられる安全なトレーニングを第一選択として指導しています。

変形性膝関節症とはどんな病気?
変形性膝関節症とは、膝のクッションである関節軟骨がすり減り、炎症や骨の変形によって膝の痛みと動かしにくさが起こる病気です。国内のX線診断による有病者数は約2,500万人と推計され(ROADスタディ)、加齢とともに増え、男性より女性に多いのが特徴です。
変形性膝関節症になりやすい人(原因・リスク要因)
- 加齢(軟骨の水分量・弾力が低下する)
- 女性(特に閉経後)
- 体重の増加(歩行時、膝には体重の約3倍の負荷がかかるとされます)
- O脚・X脚などの脚のかたち
- 過去の膝のケガ(半月板損傷・靭帯損傷・骨折)
- 太もも(大腿四頭筋)の筋力低下
- 重い物を運ぶ仕事・正座やしゃがみ込みの多い生活
症状の進行度(初期・中期・末期)
初期:動き始めの痛み
立ち上がり・歩き始めなど「動作の開始時」に膝が痛み、休むと治まります。この段階で対策を始めるのが理想です。
中期:階段・正座がつらい
階段の昇り降り(特に下り)や正座がつらくなり、膝が腫れる・水がたまる・曲げ伸ばしで音がするなどの症状が現れます。
末期:安静時にも痛む
軟骨がほぼ失われて変形が目立ち、安静時や夜間にも痛むようになります。歩行距離が短くなり、外出がおっくうになることで、さらに筋力が落ちる悪循環に陥ります。
治療法の全体像(保存療法から手術まで)
変形性膝関節症の治療は、①運動療法・生活指導 ②薬物療法(内服・外用)③注射 ④装具療法(足底板・サポーター)⑤手術(骨切り術・人工膝関節置換術)へと、状態に応じて段階的に進めるのが基本です。国内外の診療ガイドラインでは、どの段階でも運動療法と体重管理が治療の土台として推奨されています。
大切なのは「痛み止めだけに頼らない」ことです。お薬や注射で痛みを抑えている間に、運動療法で膝を支える筋力を育てることが、長期的な改善の鍵になります。
日常生活の工夫(膝への負担を減らす)
- 正座・しゃがみ込みを避け、椅子・洋式トイレ・ベッドの生活へ
- 階段はできるだけ手すりを使い、下りは特に慎重に
- 靴はクッション性のあるものを。必要に応じて杖の使用も有効
- プールでの歩行や自転車こぎなど、膝に体重をかけない運動を取り入れる
上野医院(長野市)での変形性膝関節症の診察・治療
当院では問診と診察、X線などの画像検査で膝の状態や変形の程度を評価し、痛みの原因を確認したうえで治療方針をご提案します。お薬や注射、運動療法を組み合わせた保存療法が中心で、保険診療で対応します。
太ももの筋力を安全に保つ運動療法は、痛みの悪循環を断つうえで最も重要です。関節に負担をかけずにできるトレーニングを診察のうえで指導し、ご自宅で続けられるメニューは「在宅でできる運動療法」ページでも公開しています。変形が進行し日常生活への支障が大きい場合には、関節外科の専門外来として人工関節手術に関するご相談も承ります。
- 関連ページ:在宅でできる運動療法(部位別メニュー)
- 関連ページ:膝関節の運動療法
- 関連ページ:長野市の整形外科・上野医院トップ
よくある質問
- 膝の水を抜くとクセになるって本当ですか?
-
いいえ、クセにはなりません。膝に水(関節液)がたまるのは関節内で炎症が起きているサインで、水を抜くこと自体が原因ではありません。繰り返したまる場合は、炎症の原因に対する治療が必要です。
- 変形性膝関節症は治りますか?
-
すり減った軟骨そのものが元に戻ることはありませんが、炎症を抑え筋力を保つことで、痛みを軽くし進行を緩やかにすることは十分に期待できます。早い段階で治療を始めるほど選択肢が広がります。
- 手術は必要になりますか?
-
多くの方は保存療法(お薬・注射・運動療法)で症状をコントロールできます。保存療法を続けても日常生活への支障が大きい場合に、人工関節置換術などの手術が選択肢となります。当院では手術に関する専門的なご相談も可能です。
- 体重はどのくらい減らせば膝に効果がありますか?
-
歩行時の膝には体重の約3倍の負荷がかかるとされるため、例えば3kgの減量は膝にとって約10kg分の負担軽減に相当します。数kgの減量でも痛みの改善につながることが報告されています。
- 運動すると軟骨がさらにすり減りませんか?
-
適切な運動はむしろ推奨されています。太ももの筋力は「天然のサポーター」として関節を守り、痛みの軽減に働きます。膝に体重をかけずにできる筋力訓練やプール・自転車などが安全です。痛みが強いときの運動内容は診察のうえでご案内します。
膝の痛み・階段のつらさ・歩きにくさでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。一般整形外科の外来は予約不要です。
整形外科直通:026-232-2861(電話受付 9:30〜17:00/休診:日曜・祝日)
参考情報:日本整形外科学会「変形性膝関節症」
※本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。
このページの監修:上野琢郎(整形外科専門医)|上野医院(長野県長野市三輪4丁目6-2)
