蓄熱式と熱破壊式の違い|YAGとアレキの選び方【医師監修】

「蓄熱式のほうが痛くないと聞いたけれど、効果は落ちないの?」「男性のヒゲにアレキサンドライトは向かないと言われた」——医療脱毛の相談で本当に多いのが、この方式とレーザーの選び方です。上野医院は1997年に長野県で初めて医療レーザー脱毛を導入し、20年以上この治療に取り組んできました。この記事では蓄熱式と熱破壊式の違い、YAGとアレキサンドライトの使い分け、そして男性にアレキサンドライトを使ってよいのかを、誇張せずに整理します。先に結論をお伝えすると、優劣ではなく「肌の色」と「毛の深さ」で決まるという話です。
この記事の要点
- 熱破壊式は毛乳頭を高温で一気に、蓄熱式はバルジ領域を45〜55℃でじわじわ狙う方式です。
- 毛が抜ける時期が違います。熱破壊式は1〜2週間で抜け落ち、蓄熱式は抜けずに次の毛が細くなるため「効いていない」と誤解されやすいです。
- どちらが優れているかを比較した質の高い臨床試験は存在しません。適切な出力で照射すれば最終的な減毛効果に大きな差はないと考えられています。
- アレキサンドライト(755nm)は浅い毛・色白の肌向き、YAG(1064nm)は深い毛・色黒や日焼け肌向きです。
- 男性にアレキサンドライトが使えないわけではありません。腕や脚には有効ですが、根の深いヒゲにはYAGが適しています。
- 当院は熱破壊式のみ3機種を使い分けています(蓄熱式は導入していません)。色黒・日焼け・深いヒゲはクラリティIIのYAG波長で対応します。
蓄熱式と熱破壊式は何が違いますか?
狙う場所と熱の与え方が違います。熱破壊式は毛乳頭を高温で破壊し、蓄熱式はバルジ領域を低温で繰り返し温めて発毛の指令を止めます。
どちらも「メラニン色素に反応した熱で発毛組織にダメージを与える」という原理は同じです。違うのはターゲットと温度の使い方です。
| 熱破壊式(HR) | 蓄熱式(SHR) | |
|---|---|---|
| 別名 | ショット式・単発式 | 連射式 |
| 狙う場所 | 毛乳頭・毛母細胞(発毛の司令塔) | バルジ領域(発毛の幹細胞) |
| 照射方法 | 高出力を単発で当てる | 低出力を連射しながら滑らせる |
| 温度 | 一気に高温で破壊する | 45〜55℃程度でじわじわ与える |
| 痛み | 強い(輪ゴムで弾く感覚) | 弱い(じんわり温かい) |
| 毛が抜ける時期 | 1〜2週間でポロポロ抜ける | 抜けにくい。次の毛が細くなる |
| 得意な毛 | 太く濃い毛(ヒゲ・VIO・脇) | 産毛・細い毛にも熱が伝わりやすい |
| 日焼け・色黒肌 | やけどのリスクが上がる | 比較的対応しやすい |
「蓄熱式は効かない」と言われる本当の理由
蓄熱式に「効果がない」という声が出るのは、多くの場合効果の現れ方を知らずに受けているためです。熱破壊式は施術から1〜2週間で毛が抜け落ちるので、鏡を見て変化がわかります。一方で蓄熱式は抜け落ちが乏しく、次に生えてくる毛が細く・薄くなっていくという変化の仕方をします。
YAGとアレキサンドライトはどう違いますか?
波長が違います。アレキサンドライト755nmは浅い層のメラニンに強く反応し、YAG1064nmは深く届いて肌表面のメラニンには反応しにくい特性があります。
レーザー脱毛は「波長」で性格が決まります。波長が長いほど皮膚の深くまで届き、そのかわり表面のメラニンへの反応は弱くなります。
| アレキサンドライト 755nm |
ダイオード 800〜810nm |
YAG 1064nm |
|
|---|---|---|---|
| メラニンへの反応 | 非常に強い | 強い | 弱い |
| 届く深さ | 浅い | 中間 | 深い |
| 得意な毛 | 浅く細い毛・産毛 | 広範囲をバランスよく | 太く根の深い毛 |
| 色黒・日焼け肌 | やけどリスクが高い | 注意が必要 | 比較的安全に照射できる |
| 痛み | 強め(弾く痛み) | 中程度 | 強め(深く響く痛み) |
| 美肌方向の作用 | 毛穴・トーンに働きかけやすい | — | — |
ポイントは、メラニンへの反応が強いことは長所でもあり弱点でもあるということです。アレキサンドライトは毛の黒色によく反応する反面、肌の色(表皮のメラニン)にも反応してしまうため、日焼け肌や色黒の肌ではやけどの危険が高まります。
男性にアレキサンドライトを使っても大丈夫ですか?
部位によります。腕・脚・背中などにはアレキサンドライトも有効です。ただし根の深いヒゲにはYAGのほうが適しています。
「男性にアレキサンドライトはダメ」という単純な話ではありません。判断は毛の深さと肌の状態で決まります。
ヒゲにYAGが向く理由
男性のヒゲは、体毛の中でも特に毛根が深く、密度が高いという特徴があります。浅い層で熱が消費されるアレキサンドライトでは、深部の発毛組織まで十分な熱が届きにくいことがあります。届かせようと出力を上げれば、今度は表皮のダメージが増えます。
この点でYAG1064nmは、表皮のメラニンに反応しにくいまま深部へ届くという性質を持ちます。だからこそ根深いヒゲに使われます。当院でも男性のヒゲには、アレキサンドライトとYAGの2波長を搭載したクラリティIIのYAG波長で対応しています。
アレキサンドライトが向く男性のケース
| 部位・状態 | 向いているレーザー | 理由 |
|---|---|---|
| ヒゲ(頬・あご・首) | YAG | 毛根が深い。表皮を守りながら深部へ届かせる必要がある |
| 腕・脚・胸・腹 | アレキサンドライト/ダイオード | ヒゲほど深くない。広範囲を効率よく照射できる |
| 背中・肩の産毛寄りの毛 | アレキサンドライト | 細い毛にも反応しやすい |
| 日焼けしている肌 | YAG(または期間をおく) | アレキサンドライトはやけどリスクが上がる |
| 色黒の肌・色素沈着部位 | YAG | 肌色に反応しにくい波長を選ぶ |
| VIO | YAG/熱破壊式 | 太く濃い毛。痛みが強いため出力と麻酔で調整 |
他院で「肌の色が濃いので難しい」と言われた方へ
当院はアレキサンドライトとYAGの2波長を持つクラリティIIを含む3機種を、肌の色と毛の深さで使い分けています。まずは肌の状態を診せてください。長野市三輪・大型駐車場を完備しています。
上野医院の3機種の使い分け
当院は熱破壊式の3機種を、部位・毛質・肌の色で使い分けています。蓄熱式は導入していません。
| 機種 | 方式・波長 | 主な役割 |
|---|---|---|
| ヴェロシティ(第5世代型) | 熱破壊式/800nm ダイオード | 主力機。全身を効率よく照射する |
| クラリティII | アレキサンドライト+YAG の2波長 | 色黒肌・色素沈着部位・根の深い男性のヒゲに対応 |
| ジェントルレーザー | アレキサンドライト系 | 女性の顔・口まわり。産毛と毛穴・肌のトーンに配慮 |
当院が蓄熱式を導入していないのは、2波長の切り替えで肌の色に対応できるためです。日焼けや色黒の肌に対して「痛みの少ない蓄熱式」で対応する代わりに、当院ではYAG波長を選ぶという考え方を採っています。痛みについては出力調整と麻酔で対応します。
効果が出るまでの回数の目安
| 回数 | 目安となる状態 |
|---|---|
| 3回 | 自己処理の頻度が減り始める(米国FDAの永久減毛の定義は「3回の照射後に長期的に毛が減っている状態」) |
| 5回 | 多くの部位で自己処理がかなり楽になる |
| 8〜10回 | ほとんど自己処理が不要な状態に近づく |
| ヒゲ10回以上 | 男性のヒゲは太く深いため回数が多くなりやすい |
レーザーは成長期の毛にしか効きません。そのため毛周期に合わせて複数回に分ける必要があります。回数と料金の詳しい内訳は料金表と医療脱毛のページに記載しています。小中高生の方はティーンズ医療脱毛の料金が適用されます。
費用・リスクの明示(自由診療)
医療脱毛は自由診療(全額自己負担)です。表示はすべて税込の総額です。
| コース | 5回(通常) | 5回(割引時間帯) |
|---|---|---|
| レディース 全身(顔・VIO除く) | 359,700円 | 310,200円 |
| レディース 全身+顔+VIO | 441,100円 | 383,240円 |
| メンズ 全身(顔・VIO除く) | 386,100円 | 336,600円 |
| メンズ 全身+顔+VIO | 設定なし | 417,560円 |
| 両脇 | 13,200円 | — |
| 顔全体 | 45,100円 | 44,000円 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療期間・回数の目安 | 1部位あたり5回を基本。毛周期に合わせ2〜3か月間隔(ヒゲは3〜4か月間隔)。全身5回で約1年〜1年半 |
| 主なリスク・副作用 | 照射部位の赤み・むくみ・かゆみ(数日)、やけど・水ぶくれ、毛嚢炎(毛穴の炎症)、硬毛化(うなじ・背中・二の腕に稀)、色素沈着・白斑、ヒゲの泥棒ヒゲ現象、まれにヘルペスの再活性化 |
| 効果が得られない毛 | 白髪・金髪には効果がありません(メラニン色素がないため) |
| 受けられない方・制限 | 妊娠中・授乳中の方、強い日焼けの直後、光線過敏症の方、照射部位に感染や皮疹がある方、一部の内服薬を使用中の方 |
| 6回目以降 | 単回料金の約50%で継続いただけます |
| お問い合わせ | 美容予約専用 026-235-3514/お問い合わせフォーム |
よくある質問
Q1. 痛みが苦手です。蓄熱式のあるクリニックを選ぶべきですか?
痛みの少なさを最優先されるなら選択肢のひとつです。ただし蓄熱式は毛が抜け落ちる実感が乏しく、効果を感じにくいという別の負担があります。当院では出力の調整と麻酔で痛みに対応しています。痛みの感じ方には個人差がありますので、まずご相談ください。
Q2. 男性のヒゲにアレキサンドライトを当てても意味がないのですか?
意味がないわけではありませんが、ヒゲは毛根が深いため浅い層で熱が消費されやすく、十分に届かないことがあります。当院ではヒゲにはクラリティIIのYAG波長を用いています。一方で腕や脚など浅い部位にはアレキサンドライトも有効です。
Q3. 日焼けしてしまいました。受けられますか?
強い日焼けの直後は、やけどの危険があるため照射を控えていただきます。落ち着いた段階で、肌の色に反応しにくいYAG波長を選ぶなどの対応が可能です。まず肌の状態を診せてください。
Q4. 硬毛化とは何ですか。起きたらどうなりますか?
照射した毛がかえって太く・硬くなる現象で、うなじ・背中・二の腕といった産毛寄りの部位で稀に起こります。原因は完全には解明されていません。当院では機器や波長を変更して対応します。
Q5. エステの脱毛とはどう違いますか?
発毛組織を破壊する行為は医療行為にあたるため、医療機関でのみ行えます。「永久脱毛」という表現も医療機関に限られます。医師が在籍しているため、やけどや毛嚢炎などのトラブルにその場で対応できる点も違いです。
Q6. 何回で終わりますか?
部位と毛質で変わります。目安は5回で自己処理がかなり楽になり、8〜10回でほとんど不要に近づきます。男性のヒゲは10回以上かかることが多いです。白髪・金髪には効果がありません。
まとめ
蓄熱式と熱破壊式は、優劣ではなく効果の現れ方と対応できる肌の色が違う方式です。そしてレーザーの選択は、アレキサンドライトかYAGかを毛の深さと肌の色で決めるのが本質です。男性のヒゲは深いためYAG、腕や脚にはアレキサンドライトという使い分けになります。
当院は1997年に長野県で初めて医療レーザー脱毛を導入し、現在は3機種を部位と肌質で使い分けています。他院で断られた経験のある方も、一度ご相談ください。
まずは肌と毛の状態を診せてください
どのレーザーが向いているかは、実際に肌の色と毛質を見て判断します。無理なコース契約・高額ローンのご案内はいたしません。
整形外科専門医/日本胎盤臨床医学会 理事。1997年に長野県で初めて医療レーザー脱毛を導入した当院で、20年以上にわたりレーザー治療にあたっています。院長・当院の紹介はこちら
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参考文献・出典
最終更新日:2026年7月29日
