肩関節周囲炎(四十肩)のアプローチ

長野市で「肩が痛い・腕が上がらない」とお悩みの方へ。四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の原因と、病期に合わせた治療の考え方を上野医院(整形外科)が解説します。

この記事の要点
  • 五十肩は肩の関節包に起こる炎症で、放置すると可動域制限が残ることがある
  • 治療の鍵は「急性期・拘縮期・回復期」の病期に合わせた治療と運動
  • 夜間痛がある・腕が上がらないときは早めに整形外科へ(保険診療・予約不要)

四十肩・五十肩の本当の原因とは?

「腕が上がらない」「夜中に肩が痛くて目が覚める」——五十肩は決して単なる筋肉痛や一時的な疲労ではありません。医学的には、肩の関節を包む袋(関節包)に強い「炎症」が起き、それが進行することで組織が「癒着・肥厚」し、関節が固まってしまう(拘縮)状態です。放置すると可動域制限が後遺症として残ることもあるため、適切な病期(フェーズ)の見極めと治療が不可欠です。

フェーズ別治療

五十肩の治療は、「急性期」「拘縮期」「回復期」の3つのステップに合わせて運動を変えることが最大の鍵となります。

① 急性期
(炎症が強く、じっとしていても痛い時期)

この時期に無理やり腕を上げるのは逆効果です。まずは腕の重みを利用して関節内の圧力を下げ、癒着を防ぐ安全な運動から始めましょう。

② 拘縮期〜回復期
(強い痛みが引き、固まりを感じる時期)

炎症が落ち着いたら、少しずつ関節の動きを取り戻す訓練へ移行します。重力の影響を排除して安全に動かせる仰向けでの運動や、五十肩で最も制限されやすい「外旋(外に開く動き)」を改善するストレッチが効果的です。

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とはどんな病気?

四十肩・五十肩とは、肩関節を包む袋(関節包)やその周囲の組織に炎症が起こり、肩の痛みと動きの制限(拘縮)を生じる病気で、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。40〜60代に多く、有病率は人口の2〜5%程度と報告されています。糖尿病のある方では起こりやすく、治りにくいことが知られています。

「四十肩」「五十肩」は発症した年代による呼び分けで、医学的には同じ病気です。多くは片側の肩に起こりますが、時間をおいて反対側に発症することもあります。

五十肩の主な症状(セルフチェック)

次のような症状に当てはまる場合、五十肩の可能性があります。

  • 腕を上げる・後ろに回す動作で肩が痛む(髪を結ぶ・帯を結ぶ動作がつらい)
  • 夜間、肩の痛みで目が覚める(夜間痛
  • 服の袖に腕を通す動作、背中のファスナーに手が届かない
  • 痛い方の肩を下にして眠れない
  • 痛みが引いてきた後も、肩の動く範囲が狭いまま戻らない

特に夜間痛は、炎症が強い時期(急性期)に特徴的な症状です。この時期の対応が、その後の回復スピードを左右します。

五十肩と間違えやすい病気(鑑別が重要)

「肩が痛い・上がらない」症状は、五十肩以外の病気でも起こります。治療法が異なるため、正確な見分け(鑑別診断)が重要です。

  • 腱板断裂:肩を支える腱(腱板)が切れる病気。力が入らない、挙上時に引っかかり感や音がする場合は要注意。五十肩と治療方針が大きく異なります。
  • 石灰沈着性腱板炎:腱板にカルシウムが沈着し、ある日突然の激痛で発症することが多い病気。
  • 頸椎の病気(頸椎症・頸椎椎間板ヘルニア):首の神経の圧迫でも肩から腕への痛み・しびれが出ます。
  • 変形性肩関節症・リウマチなど:関節そのものの変形や炎症性疾患。

これらはX線(レントゲン)や超音波エコーなどの検査で見分けます。「五十肩だと思って放置していたら腱板断裂だった」というケースは少なくありません。

五十肩の経過と治療期間の目安

五十肩は「炎症期(急性期)→ 拘縮期 → 回復期」という経過をたどり、自然経過では全体で半年〜2年程度かかることもあります。適切な時期に適切な治療(薬物療法・注射・運動療法の組み合わせ)を行うことで、痛みの期間を短くし、可動域制限が後遺症として残るのを防ぐことが期待できます。

やってはいけないこと・セルフケアの注意点

五十肩でやってはいけないこと
  • 痛みの強い急性期に、無理やり腕を上げる・強く揉む(炎症を悪化させます)
  • 「そのうち治る」と放置する(拘縮が固定化し、回復に時間がかかります)
  • 拘縮期に全く動かさない(固まりを進行させます)

「急性期は安静と痛みのコントロール、炎症が落ち着いたら段階的に動かす」——この順番を守ることが、五十肩治療の最大のポイントです。

上野医院(長野市)での四十肩・五十肩の診察・治療

四十肩・五十肩の治療で最も大切なのは、今がどの病期(急性期・拘縮期・回復期)なのかを正しく見極めることです。当院では問診と診察、必要に応じて画像検査を行い、石灰沈着性腱板炎や腱板断裂など似た症状の疾患と区別したうえで、病期に合わせた治療方針を立てます。診察・検査・治療は保険診療で対応します。

痛みの強い急性期にはお薬や注射などで炎症を抑え、拘縮期・回復期には可動域を取り戻す運動療法を段階的に指導します。ご自宅で取り組めるメニューは「在宅でできる運動療法」ページでも公開しています。予約は不要ですので、受付時間内にそのままお越しください。

よくある質問

四十肩・五十肩は放っておけば治りますか?

自然に軽快することもありますが、適切な時期に適切な運動を行わないと、関節が固まったまま可動域制限が後遺症として残ることがあります。夜間痛や「腕が上がらない」という症状が出てきたら、早めの受診をおすすめします。

五十肩はどのくらいの期間で治りますか?

個人差が大きいものの、半年〜1年以上かかることも珍しくありません。病期に合わせた治療と運動療法を続けることが、回復を早め後遺症を防ぐ近道です。

肩こりと五十肩はどう違いますか?

肩こりは主に筋肉の緊張や血流不足によるもので、五十肩は肩関節の関節包に起こる炎症・癒着です。「腕を上げると痛い」「夜中に肩の痛みで目が覚める」場合は五十肩が疑われます。マッサージで改善しない慢性的な肩こりには、当院ではハイドロリリース(筋膜リリース注射)という選択肢もあります。

五十肩は反対側の肩にもなりますか?

同時に両肩に起こることは稀ですが、片側の五十肩のあとに反対側にも発症することはあり、2〜3割程度にみられるという報告があります。糖尿病のある方は特に注意が必要です。

五十肩で手術になることはありますか?

ほとんどの方は保存療法(お薬・注射・運動療法)で改善します。強い拘縮が長期間続く場合に手術的治療が検討されることもありますが、ごく一部です。まずは病期に合わせた保存療法から始めましょう。

受診のご案内(長野市の整形外科・上野医院)

肩の痛み・腕が上がらないなどの症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。一般整形外科の外来は予約不要です。

整形外科直通:026-232-2861(電話受付 9:30〜17:00/休診:日曜・祝日)

参考情報:日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」

※本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。

このページの監修:上野琢郎(整形外科専門医)|上野医院(長野県長野市三輪4丁目6-2)