男性のシミ取り|40代・50代が知るべき「取る前に診る」理由【医師監修】

鏡を見て、頬や額のシミが急に気になり始めた。同僚に「疲れてる?」と言われた。写真に写った自分の顔が、思っていたより老けて見えた——。
40代・50代の男性から、そんなご相談が増えています。ただ、私たちが最初にお伝えしているのは「どうやって取るか」ではありません。「それは本当にシミですか」という確認です。
この記事では、男性のシミがなぜ放置されやすいのか、そして治療の前に必ず確認すべきことを、学会ガイドラインと研究データをもとに解説します。読み終えるころには、ご自身のシミが「すぐ治療していいもの」か「まず診断が必要なもの」かの判断材料が手に入ります。
意外に思われるかもしれませんが、日本で発見される基底細胞癌という皮膚がんの88%は、黒っぽい色をしています。つまり「ただのシミ」に見えるのです。
この記事の要点
- 日本人男性で日焼け止めを使う人は18.7%(女性は70.1%)という調査結果があります
- 日光角化症(前がん病変)は男性に約3.9倍多いと報告され、日本で毎年10万人以上発生すると推定されています
- 日本の基底細胞癌は88%が有色素性=黒っぽく見えるため、シミと見分けがつきにくいことがあります
- 学会の指針は「鑑別ができない場合は、レーザー治療を安易に行ってはいけない」と明記しています
- 日光黒子(老人性色素斑)へのレーザー治療は推奨度1(強く推奨)。ただし肝斑は逆に悪化することがあります
- 「強く当てるほど効く」わけではありません(効果は同等で、色素沈着リスクだけが約4倍になったという研究があります)
なぜ男性のシミは、気づいたときには進んでいるのか
日本人男性で日焼け止めを使用する人は18.7%、女性は70.1%という調査結果が報告されています(Morita et al., 2024)。 日本人1,000人(男性475人・女性525人)を対象とした横断調査の結果です。
| 紫外線対策 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 日焼け止めを使う | 18.7% | 70.1% |
| 遮光衣類を着る | 22.7% | 47.0% |
| 日陰にいる | 39.4% | 67.0% |
| 日中(12〜16時)を避ける | 28.2% | 45.7% |
| 帽子をかぶる | 47.4% | 50.5%(差なし) |
同じ調査で「日焼けした肌は魅力的だと思う」と答えた男性は54.9%(女性34.7%)でした。健康的に見えると信じて浴びてきた紫外線が、20年後にシミとして現れる——これが40代・50代で相談が増える理由です。
※この調査は日焼け止めメーカーが資金提供しており、回答は自己申告である点を申し添えます。
屋外の仕事・趣味がある方は特に
環境省の資料では「屋内で働く人は屋外で働く人の10〜20%の紫外線を浴びている」とされ、農業・漁業・土木建設業などで曝露が多いと記載されています(紫外線環境保健マニュアル2020)。
日本国内の検診研究でも、屋外労働者は屋内労働者より日光角化症の有病率が有意に高いと報告されています(Naruse et al., 1997/兵庫県加西市4,736名)。ゴルフ・釣り・現場仕事のある方は、ご自身が高曝露群である可能性を考えてください。
そのシミ、本当にシミですか?
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
40代・50代男性の顔にできる茶色い斑には、単なる老人性色素斑(日光黒子)以外のものが混じることがあります。
見分けが必要な主な病変
| 病変 | 特徴 |
|---|---|
| 老人性色素斑(日光黒子) | 40歳以上で顔・手背・前腕などの露光部に加齢とともに出現。褐色〜やや黒色、数mm〜1cm超 |
| 脂漏性角化症 | 加齢と紫外線による良性腫瘍。老人性色素斑が隆起して生じることも多い。80歳以上ではほぼ全員に認める |
| 日光角化症 | 長期の紫外線曝露で生じる前がん病変。鱗屑を伴う紅色局面が典型だが、褐色・黒色調を呈するもの(色素性日光角化症)もある |
| 基底細胞癌 | 皮膚がん。日本では88.0%が有色素性(黒色37.8%・黒褐色30.4%ほか)。初期は直径1〜2mmのわずかに隆起した黒点 |
| 悪性黒子 | 顔面の露光部に好発するメラノーマの一型 |
(日本皮膚科学会 皮膚がん診療ガイドライン2025、美容医療診療指針より)
日光角化症は、男性に多い
日光角化症は、男性であることのオッズ比が3.92(95%CI 2.42–6.36)と報告されています(Hensen et al., 2009)。日本国内では罹患率が10万人あたり年100〜120人と推定され、毎年10万人以上が発生しているとされています(有棘細胞癌診療ガイドライン2020年版)。
最新の2025年版ガイドラインでは「上皮内がんというよりは前がん病変として捉えられることが多い」としつつ、「治療せずに放置すると有棘細胞癌になるという認識は重要である」と明記されています。
なお進展率については、米国データで1年0.39%・5年2.50%という報告がある一方、報告により年間0.025%〜20%と幅が極めて大きいとされています(同2020年版)。「必ずがんになる」わけでも「放置していい」わけでもない、というのが正確な理解です。
特に注意が必要な組み合わせ
顔面の色素性病変1,197例を検討した研究では、「前額部・男性・69歳超・毛包の開口部が不明瞭」という条件がそろう病変は悪性のリスクが高いと報告されています(Tognetti et al., 2023)。
40代・50代はこの年齢帯より若いものの、額のシミが気になり始めた男性は、自己判断で市販品を使う前に一度診察を受けていただきたい層です。
医療機関を受診していただきたいサイン
以下に当てはまる場合は、美容目的の治療より先に、皮膚の診察をお受けください。
日光角化症から進行を疑うサイン(有棘細胞癌診療ガイドライン2025)
- 病変に硬いしこり(浸潤)を触れる
- 炎症を伴う(赤み・熱感)
- 出血する
皮膚がんを疑うサイン
- わずかに隆起した黒い点が、少しずつ大きくなっている
- 中央がへこみ、周囲が蝋のように光る黒い小結節に囲まれている
- 下唇の乾燥・鱗屑・亀裂が続く(日光口唇炎の可能性)
メラノーマのABCDEルール
- Asymmetry(左右非対称)/Border(辺縁が不整)/Color(色むら)/Diameter(6mm超)/Evolution(変化する)
- ただしガイドラインは「結節型・無色素性のメラノーマではABCDEルールが適応されにくい」と注意を促しています。「他のほくろと明らかに雰囲気が違う一つ」(醜いアヒルの子サイン)も重要な手がかりです
安易なレーザーが危険な理由
5つの学会が共同で作成した「美容医療診療指針」には、次のように書かれています。
「最も問題となるのは、悪性腫瘍との鑑別である。疑いのある症例ではレーザー治療前にダーモスコピーおよび生検による精査を考慮する必要がある。不適切なレーザー治療によりダーモスコピー像を修飾してしまい、悪性腫瘍の診断を困難にする危険性があるからである。」
「鑑別ができない場合は、レーザー治療を安易に行ってはいけない。」
つまり、診断がつかないまま照射すると、後から正しく診断することすら難しくなるということです。実際、日光黒子と考えてレーザーを照射した後にメラノーマが生じた症例報告も、同指針に記載されています。
また、診断の確定について、有棘細胞癌診療ガイドライン2025は「日本人における日光角化症のダーモスコピー所見の感度・特異度を検討した報告はないため、最終診断には生検による病理診断が必須である」としています。ダーモスコピー(拡大鏡)は非常に有用ですが、それだけで確定するものではありません。
上野医院では、医師が診察したうえで治療方針を決めます。「これは美容治療の対象」「これは保険診療で精査すべき」という線引きを最初に行うことが、遠回りに見えて最短です。
治療の選択肢とエビデンス
診断がついた老人性色素斑(日光黒子)については、レーザー治療の有効性が確立しています。
5学会共同の美容医療診療指針では、日光黒子へのレーザー・光治療(IPL)は推奨度1(強く推奨)とされています。一方、肝斑に対しては推奨度2(弱く提案)で、保存的治療で効果が不十分な場合の併用療法という位置づけです。
治療法ごとの改善率
41試験・3,234例を統合した系統的レビューでは、次のように報告されています(Mardani et al., 2025)。
| 治療法 | 奏効率 |
|---|---|
| ピコ秒レーザー | 67.9〜93.0% |
| IPL(光治療) | 74.6〜90% |
| Qスイッチレーザー | 36.4〜76.6% |
| 凍結療法 | 37〜71.4% |
| ケミカルピーリング(TCA) | 12〜46% |
レビューの結論は「レーザー治療が他の治療法より有効と思われる」というものでした。
なお、盛り上がったシミ(脂漏性角化症)にはレーザーの種類が変わります。平らな色素斑に用いるピコレーザー(ピコシュア)では隆起そのものは取れないため、当院では炭酸ガスレーザーによるほくろ・イボの除去で対応しています。同じ「シミ」に見えても、平らか盛り上がっているかで治療法が分かれます。
「強く当てるほど効く」わけではありません
日本人研究者による193例・355病変のランダム化比較試験では、照射強度を変えた4群を比較しています(Negishi et al., 2013)。
| 照射 | 色素沈着(PIH)発生率 |
|---|---|
| 積極的(強め) | 33.3%/23.2% |
| 穏やか | 7.5%/8.5% |
そして重要なのは、4群間で色素の除去効果に統計学的な有意差はなかったという点です。強く当てても取れ方は変わらず、色素沈着のリスクだけが約4倍になったということになります。
当院が「診断に基づいて、必要十分な出力で照射する」ことを重視しているのは、こうした背景があります。
肝斑には注意が必要です
肝斑(両頬に左右対称に出る色素斑)に、日光黒子と同じ強いレーザーを当てると、強い炎症が起きて悪化することが知られています(美容医療診療指針)。見た目が似ていても、治療法がまったく異なります。
上野医院の治療内容・費用(自由診療)
当院ではピコレーザー「ピコシュア(PicoSure)」を導入しています。長野市で導入している施設は限られています。本機器は国内で薬事承認を取得した医療機器です。
| 施術 | 内容 | 費用(税込) |
|---|---|---|
| ピコスポット | 気になるシミ1か所(1c㎡あたり) | 16,500円 |
| ピコスポット全顔 | 顔全体のシミに照射 | 38,500円 |
| ピコトーニング | 顔全体(肝斑・くすみ) | 27,500円 |
| ピコフラクショナル | 顔全体(毛穴・ニキビ跡・小ジワ) | 38,500円 |
| ピコダブル | トーニング+フラクショナル | 44,000円 |
| ピコシュア プレミアム | スポット+トーニング+フラクショナル(同日) | 79,200円 |
| プレミアム 4回コース | 12か月間有効 | 132,000円 |
回数の目安: ピコスポットは通常1〜2回で効果を実感される方が多いですが、シミの種類・濃さにより複数回必要な場合があります。トーニングは重ねるほど効果が期待できます。
リスク・副作用(必ずお読みください)
- 炎症後色素沈着(PIH): 照射後1か月ごろから、一時的にシミが濃くなったように見えることがあります。これは失敗や取り残しではなく、やけどや虫刺され跡と同じ正常な炎症反応です。通常3か月〜半年(長い場合は1年)で自然に薄くなります
- ダウンタイム: ピコスポットは照射後にかさぶたができ、剥がれるまで1〜2週間かかります。ピコトーニング・ピコフラクショナルはダウンタイムがほぼなく、当日からメイク(コンシーラー等)が可能です
- 日焼けしている場合、施術をお受けいただけないことがあります(やけどのリスクが高まるため)
- 照射時に軽い痛みを感じることがあります
- 効果には個人差があります
- 日本人を対象とした研究では、老人性色素斑のレーザー治療後の再発率は12.7%と報告されています(Kaminaka et al., 2017)
お支払い: 現金またはクレジットカード。事前の診察・説明のうえ、ご納得いただいてから施術します。
仕事に支障を出さない通い方
働く男性にとって、ダウンタイム中の見た目は現実的な問題です。
- かさぶたが目立つのを避けたい方: ピコスポットは1〜2週間テープや軟膏での保護が必要です。金曜の夜に施術し、週末を挟むスケジュールをご提案しています(当院は金曜20時まで・土曜15時まで予約枠を延長しています)
- どうしてもダウンタイムを作れない方: まずピコトーニングから始め、色調を整えながら計画を立てる方法もあります
- ヒゲ剃り: 照射部位の扱いは病変の位置・処置内容により異なるため、施術時に個別にご案内します
治療後にシミを増やさないために
せっかく治療しても、紫外線対策をしなければ新しいシミができます。ここが男性の弱点です。
中年男女903名を対象としたランダム化比較試験では、日焼け止めを毎日使用した群は、必要に応じて使う群より皮膚の老化が24%少なかったと報告されています(Hughes et al., 2013/オーストラリア・4.5年追跡)。この研究は「健康な中年男女において」と明記しており、男性にも当てはまる数少ないエビデンスです。
また50歳以上の方を対象に片手だけにSPF30を塗った小規模研究では、塗った側の老人性色素斑が塗らなかった側より明るかったと報告されています(Josse et al., 2018/17名)。既にあるシミが夏に濃くなるのを、日焼け止めが抑えたということです。
続けるための現実的な工夫
- 朝の洗顔後、化粧水の代わりに日焼け止めを1つだけ置く(工程を増やさない)
- 顔全体に必要な量は約1.2mL(1円玉大を2回)。少なすぎると表示のSPFは出ません
- 車の運転・ゴルフなど、屋外時間が長い日は2時間ごとの塗り直しを
- 帽子は男性でも着用率が約47%と高い項目です。まず帽子から始めるのも現実的です
なお、男性の屋外労働者148名を対象とした研究では、自分の顔のUV写真(紫外線ダメージの写真)を見た群で、日焼け防止行動が有意に増えたと報告されています(Stock et al., 2009)。「言われてもピンとこない」という方は、ご自身の肌の状態を画像で確認してみることをおすすめします。
よくあるご質問
Q1. 男性でも受診しやすいですか?
はい。完全予約制で、診察室での対応となります。男性の患者様もご来院されています。金曜は20時まで、土曜は15時まで予約枠を延長しており、お仕事帰りにもご利用いただけます。
Q2. シミは1回で消えますか?
シミの種類や濃さによって異なります。1回で改善する場合もありますが、複数回必要になることもあります。顔全体のシミ取りをした場合でも、トーニングを重ねたり内服・外用を併用したりして、半年ほどかけて色ムラのない状態にしていくのが理想的とされています。効果には個人差があります。
Q3. 治療後にシミが濃くなったのですが、失敗ですか?
炎症後色素沈着(PIH)と呼ばれる正常な反応である可能性が高いです。通常3か月〜半年(長い場合は1年)で自然に薄くなります。ご不安な場合は再診でご相談ください。
Q4. 市販の美白化粧品では治りませんか?
老人性色素斑については、系統的レビューでレーザー治療が外用治療より有効とされています。外用薬にも効果は報告されていますが、たとえばトレチノイン0.1%の試験では10か月の使用で顔面病変の83%が淡色化という結果でした。時間のかかり方が大きく異なります。
Q5. 保険は使えますか?
シミ取りの美容目的の治療は自由診療(保険適用外)です。ただし、診察の結果、日光角化症や皮膚腫瘍が疑われる場合は保険診療での検査・治療の対象となります。まずは診察でご相談ください。
Q6. 日焼け止めを塗る習慣がありません。今からでも意味はありますか?
あります。前述のランダム化比較試験は、すでに中年に達した男女を対象に4.5年間追跡して、光老化の差を示しています。始めるのに遅すぎることはありません。
まとめ
40代・50代男性のシミ治療で、最も大切なのは順番です。
- まず診る — そのシミが本当に美容治療の対象か。日光角化症や皮膚がんが混じっていないか
- 診断に合った治療を選ぶ — 日光黒子にはレーザー(推奨度1)、肝斑には別の方針
- 必要十分な出力で照射する — 強く当てても効果は変わらず、色素沈着リスクだけが上がります
- 治療後は遮光を続ける — 日焼け止めの習慣が、次のシミを減らします
上野医院(長野市三輪)は、整形外科・美容皮膚科を併設し、医師が診察したうえで治療方針を決めます。「これはシミなのか、それとも別のものなのか」という段階からご相談いただけます。
ご相談・ご予約
電話 026-235-3514(受付 9:30〜17:00)/LINEからもご予約いただけます
金曜20時まで・土曜15時まで予約枠を延長しています
関連ページ
👉 男性のシミ治療の費用・流れ・ダウンタイムはメンズ シミ取り(長野市の男性向けシミ治療)のページにまとめています。
監修: 上野医院 院長(日本整形外科学会認定 整形外科専門医)
参考文献
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- 日本皮膚科学会. 皮膚がん診療ガイドライン第4版 有棘細胞癌診療ガイドライン2025. 日皮会誌 135(6):1531-1578, 2025
- 日本皮膚科学会. 皮膚がん診療ガイドライン第4版 基底細胞癌診療ガイドライン2025. 日皮会誌 135(8):1829-1880, 2025
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- 環境省. 紫外線環境保健マニュアル2020. https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
※効果・経過には個人差があります。
※シミ取りの美容目的の治療は自由診療(保険適用外)です。
※記載の費用は2026年7月時点の税込価格です。
最終更新日: 2026年7月20日
