エラボトックスの効果と持続|小顔目的の注意点を医師が解説【長野市】

鏡を見ながら指先であごから耳の下のフェイスラインに触れる女性のイラスト

「エラが張っていて、顔が四角く見える」「歯を食いしばるクセがあって、頬の下の筋肉が硬い」——こうしたご相談でご案内するのがエラボトックス(咬筋へのボツリヌストキシン注射)です。

ただし、エラの張りがすべて筋肉由来とはかぎりません。骨格や脂肪が主な原因であれば、この治療では変わりません。この記事では、効果の出方と持続、噛む力への影響、向かない場合までを、研究データをもとに正直にまとめます。

目次

この記事の要点

  • 咬筋(かむ筋肉)の働きを一時的に弱め、使わないことで筋肉が細くなる治療
  • 見た目の変化は1〜3ヶ月かけて出る。打った翌日に小顔になる治療ではない
  • 121例の超音波測定で、咬筋の厚みは平均13.32mm→9.94mmに減少。回数を重ねるほど縮小した※1
  • 4年間の追跡では、2回で約26%、3回で約40%の筋容積減少が維持された※2
  • 噛む力の低下は3ヶ月では有意、6ヶ月では有意差なし=元に戻る変化と報告されている※3
  • 骨格性・脂肪性のエラ張りには効きません。診察での見極めが先です

エラボトックスとは?

頬の下、歯を食いしばると硬く盛り上がる筋肉が咬筋です。食いしばりや歯ぎしりのクセ、硬いものを噛む習慣などで咬筋が発達すると、輪郭が横に張って見えます。

ボツリヌストキシンを咬筋に注射すると、神経から筋肉への収縮の指令が一時的に遮断されます。強く働けなくなった筋肉は、使われないことで少しずつ細くなります。筋肉を溶かすのではなく「休ませることで縮む」——これがエラボトックスの仕組みです。

効果はいつから出て、どのくらい続きますか?

硬さがゆるむ感覚は2〜3日から、見た目の変化は1〜3ヶ月かけて現れます。持続の目安は3〜6ヶ月です。

筋肉が細くなるまでには時間がかかるため、しわのボトックスのように「1〜2週間で完成」とはなりません。1ヶ月目より2〜3ヶ月目のほうが輪郭の変化を感じる方が多い治療です。

時期 変化の目安(個人差あり)
2〜3日 食いしばったときの筋肉の硬さがゆるみ始める
2〜4週間 噛む力の低下を自覚する方がいる。硬いものが噛みにくいことがある
1〜3ヶ月 咬筋が細くなり、輪郭の変化が出やすい時期
3〜6ヶ月 効果が徐々に戻っていく。継続する場合は次回を検討

何回くらい必要ですか?

1回でも変化は出ますが、回数を重ねたほうが縮小の度合いは大きくなります。

121例を超音波で追跡した報告では、咬筋の厚みは平均13.32mmから9.94mmへ減少し、受けた回数が増えるほど平均の筋厚は小さくなり、必要な量は減っていきました。もともと筋肉が厚い方ほど効果が出やすい傾向も示されています※1。

4年間の追跡調査では、12週間隔で打った場合、2回で24週時点に約26.6%、3回で36週時点に約42.5%の筋容積減少が得られ、4年後もそれぞれ約24%・約41%の減少が保たれていました※2。当院でも、まず1回受けていただき、効果を確認しながら間隔と回数をご相談する流れをおすすめしています。

噛む力は落ちませんか?

一時的には落ちますが、元に戻る変化と報告されています。

両側の咬筋に合計50単位を1回注射した研究では、最大の噛む力は3ヶ月の時点では有意に低下していたものの、6ヶ月の時点では注射していない群との差がなくなっていました※3。見た目の変化のほうが長く続く一方、機能の低下は回復していく、という結果です。

実際には、施術後2〜4週間ごろに「硬いお肉やナッツが噛みにくい」と感じる方がいます。日常の食事で困るほどになることは多くありませんが、この時期は硬いものを控えると安心です。

歯ぎしり・食いしばりにも効きますか?

咬筋の緊張をゆるめる治療なので、朝の顎のだるさや頭痛といった症状の相談でも使われます。ただし研究の結果は一致していません。

睡眠時ブラキシズムを対象にしたランダム化比較試験(睡眠検査で判定)では、歯ぎしりが起きる回数そのものは減らなかった一方で、筋活動のピークの強さは12週間にわたって低下しました※4。「歯ぎしりをやめさせる治療ではなく、歯ぎしりの力を弱める治療」と理解するのが実際に近いと考えています。

また、ブラキシズムのある方でマウスピースと比較した2025年の研究では、ボツリヌストキシンのほうが早期に咬筋の厚みを減らしたものの、6ヶ月後には群間の差がなくなっていました※5。

機能面(歯ぎしり・食いしばり・顎の痛み)が主なお困りごとの場合は、歯軋りに対するボトックスのページで詳しくご説明しています。

向いている方・向いていない方

向いている 効果が出にくい・お受けできない
食いしばると頬の下が硬く盛り上がる(筋肉が発達している) エラの張りが骨格(下顎角)由来の方
歯ぎしり・食いしばりの自覚がある 張りではなく脂肪・たるみが主体の方
歯科でマウスピースをすすめられたが続かない 妊娠中・授乳中の方
手術ではない方法から試したい 神経筋疾患のある方、過去にボツリヌス製剤で重い副反応が出た方

骨格性か筋肉性かは、食いしばっていただいたときの筋肉の動きと、触診で判断します。筋肉が主因でなければ、正直にその旨をお伝えします。

リスク・副作用と、当院が気をつけていること

  • 内出血・腫れ・注射部位の痛み: 数日で落ち着きます
  • 噛む疲れやすさ: 2〜4週間ごろに出やすく、時間とともに回復します※3
  • 笑顔の左右差・表情の違和感: 注入部位が浅い、あるいは前方に寄ると、口元の筋肉に影響することがあります。位置と深さを慎重に選びます
  • 頬のこけ・たるみの印象: 高用量・長期の繰り返しで指摘されることがあります。必要以上の量を打たない方針です
  • 効果が不十分: 骨格・脂肪が主因の場合や、量が足りない場合に起こります。2週間以内であればタッチアップ(12,100円)で微調整が可能です
  • 効きにくくなる可能性: 短期間での頻回投与は抗体ができる一因とされます。間隔は3ヶ月以上を基本とします

当院の料金(税込)

施術 料金
ボトックス注射(両エラ:小顔・歯ぎしり) 52,800円
タッチアップ(注射後2週間以内の微調整) 12,100円
初診料/再診料(相談のみ) 3,300円/1,650円

眉間・目尻・額などの部位には曜日限定の割引がありますが、対象部位は変更されることがあります。最新の内容は料金表をご確認ください。

治療内容: 両側の咬筋にボツリヌストキシン製剤を注射します。施術時間は10〜15分程度、安静は不要です。
治療回数・期間の目安: 1回から可能。継続する場合は3ヶ月以上の間隔で年2〜3回が目安です。
主なリスク・副作用: 上記「リスク・副作用」のとおり。副作用が起きた場合は当院で診察・対応します。
お問い合わせ: 026-235-3514(美容予約専門)
自由診療(自費)です。効果には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束するものではありません。

未承認医薬品に関する事項: 当院で使用するニューロノックスは国内未承認のボツリヌストキシン製剤です。医師の判断のもと個人輸入により入手しています(同一成分で国内承認された医薬品にはボトックスビスタがあります)。韓国MFDS(食品医薬品安全処)の承認を受けており、国内承認薬との比較試験で同等の有効性・安全性が報告されています。また、咬筋への注射(エラの張り・小顔・歯ぎしりを目的とするもの)は、国内承認薬においても承認された使用目的の範囲外(適応外使用)です。未承認医薬品のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

よくある質問

Q1. 打ったらすぐ小顔になりますか?

なりません。筋肉が細くなるまでに時間がかかるため、輪郭の変化は1〜3ヶ月かけて現れます。すぐに変化が欲しい場合には向かない治療です。

Q2. やめたら元に戻りますか?

効果が切れれば筋肉はまた使われるようになり、徐々に戻っていきます。ただし4年間の追跡では、複数回受けた方で縮小した状態が保たれていたという報告もあります※2。

Q3. 食事がしにくくなりませんか?

施術後2〜4週間ごろに硬いものが噛みにくいと感じる方がいます。噛む力の低下は3ヶ月時点では認められ、6ヶ月時点では差がなくなったと報告されています※3。

Q4. 顔がこけたり、たるんだりしませんか?

必要以上の量を繰り返すと、頬のボリュームが減った印象になることがあります。当院では効果と見た目のバランスをみて量を決め、初回から最大量を入れることはしません。

Q5. 保険は使えますか?

エラの張り・小顔・歯ぎしりを目的とした咬筋へのボトックスは自由診療(自費)です。

まとめ|「筋肉のエラ」かどうかを見極めてから

エラボトックスは、咬筋が発達しているタイプの輪郭の張りに対しては、手術以外で選べる現実的な方法です。一方で、骨格や脂肪が主な原因であれば効果は期待できません。効く場合と効かない場合をはっきりお伝えすることが、この治療でいちばん大切だと考えています。長野市の上野医院では、まず触診で筋肉の状態を確認し、見込みをお話ししたうえでご提案しています。

上野医院(長野市三輪)
ご予約・ご相談: 026-235-3514(美容予約専門)
LINE・WEB予約もご利用いただけます。

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この記事の監修
整形外科・美容外科 上野医院 院長 上野 正樹(日本美容外科学会認定医〈JSAS・認定番号256号〉)

参考文献(URL実在確認済み)

※1 Kim NH, et al. Botulinum toxin type A for the treatment of hypertrophy of the masseter muscle. Plast Reconstr Surg. 2010: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20517093/
※2 Efficacy of Botulinum Toxin in Treating Asian Indian Patients with Masseter Hypertrophy: A 4-Year Follow-Up Study. Plast Reconstr Surg. 2019: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31461011/
※3 Ågren M, et al. Duration of bite force reduction following a single injection of botulinum toxin in the masseter muscle bilaterally: A one-year non-randomized trial. J Oral Rehabil. 2023: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36810787/
※4 Shim YJ, et al. Botulinum Toxin Therapy for Managing Sleep Bruxism: A Randomized and Placebo-Controlled Trial. Toxins (Basel). 2020: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32182879/
※5 Can Occlusal Splint or Botulinum Toxin A Therapy Reduce Masseter Muscle Thickness in Patients With Bruxism? J Oral Maxillofac Surg. 2025: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40935351/

最終更新日: 2026年10月6日

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