肝斑とシミの違い5つ|レーザーで悪化する理由を医師が解説【長野市】

「シミ取りをしたのに、かえって濃くなった」——そうご相談にみえる方の中には、肝斑(かんぱん)が隠れていることがあります。
肝斑は見た目がシミによく似ています。けれども治療の考え方は大きく異なり、通常のシミ取りレーザーを当てると悪化することがあります。
この記事では、肝斑と老人性色素斑を見分ける5つのポイントと、レーザーで悪化しうる理由を、長野市の上野医院が解説します。読み終える頃には、ご自身のシミがどちらに近いか見当がつくはずです。
この記事の要点
- 肝斑は頬骨まわりに左右対称に広がり、輪郭がぼんやりしていることが多いです
- 老人性色素斑は境界のはっきりした斑で、左右非対称にできることもあります
- 肝斑は季節・体調・妊娠・ピルで濃さが変わります。ここが大きな手がかりです
- 肝斑に強いレーザーを当てると、炎症を介してかえって色が濃くなることがあります
- 低出力のレーザーでも、当て方によっては色素沈着を招きうると報告されています※1
- 肝斑は遮光と内服が土台。レーザーは補助として、低出力で慎重に用います
「自分のシミは、レーザーを当てていいタイプ?」
肝斑が混ざっているかどうかは、見た目だけでは判断が難しいことがあります。迷ったら照射の前に診察でお確かめください。
📞 026-235-3514(長野市三輪・上野医院/美容予約専門) ご相談だけでも承ります。
肝斑とシミはどう違いますか?
できる場所・輪郭の見え方・濃さの変わり方が違います。肝斑は頬骨まわりに左右対称で、輪郭がぼやけ、体調や季節で濃くなったり薄くなったりするのが特徴です。
一方、いわゆる「シミ」と呼ばれることが多い老人性色素斑は、輪郭がはっきりした茶色い斑です。紫外線を浴びた年数の分だけ蓄積し、自然に薄くなることはほとんどありません。
ただし実際の診察では、この2つが同じ顔に混在している方が少なくありません。肝斑の上に老人性色素斑が乗っている状態です。見分けが治療方針を左右するのは、このためです。
見分ける5つのポイント
| 見るところ | 肝斑 | 老人性色素斑 |
|---|---|---|
| ① 輪郭 | ぼんやりして、どこまでか分かりにくい | はっきりした縁がある |
| ② 場所 | 頬骨・額・口のまわり。左右対称になりやすい | 顔のどこでも。片側だけのこともある |
| ③ 年齢・性別 | 30〜50代の女性に多い | 年齢とともに増える。男性にもできる |
| ④ 濃さの変動 | 季節・体調・妊娠・ピルで変わる | 基本的に変わらない |
| ⑤ 摩擦との関係 | 洗顔やマッサージで濃くなることがある | 関係は乏しい |
④の「濃さが変わるかどうか」は、ご自身でも確かめやすい手がかりです。夏に濃くなり冬に薄らぐ、体調が崩れると目立つ——こうした変動があれば、肝斑の要素を疑います。
シミの種類は他にもあります。ADM・そばかす・ほくろとの違いは「シミの種類は4つ|自分で見分けるポイントと治療法」で整理しています。
なぜ肝斑にレーザーを当てると悪化することがあるのか
肝斑の色素をつくる細胞が、刺激に対して過敏になっているためです。強い熱や衝撃が加わると炎症が起き、その炎症が新たな色素づくりの引き金になります。
老人性色素斑では、レーザーで色素を壊すことが治療になります。ところが肝斑では、同じ刺激が「色を作れ」という指示として働いてしまうことがあります。これが、施術後に濃くなったように見える主な理由です。
この現象は低出力の照射でも起こりえます。低出力Qスイッチレーザーの系統的レビューでは、出力が低くても、当て方によっては炎症を介して色素沈着を招きうることが指摘されています※1。「弱く当てるから安全」と言い切れる治療ではありません。
もうひとつ知っておきたいのが、色が抜けすぎるリスクです。低出力の照射を重ねた場合に、まだらに白く抜ける変化が報告されています※1。濃くなる方向にも、薄くなりすぎる方向にも振れうる、という理解が現実的です。
では、肝斑はどう治療するのか
遮光と内服を土台に置き、レーザーは低出力で補助的に使うのが基本的な考え方です。順番が逆になると、悪化のリスクが上がります。
遮光は治療そのものです。紫外線だけでなく、洗顔やクレンジングでの摩擦も刺激になります。こするケアを減らすだけで、濃さが落ち着く方もいらっしゃいます。
内服については、トラネキサム酸を用いた複数の試験をまとめた解析で、肝斑の重症度スコア(MASI)が平均2.46ポイント下がったと報告されています※2。用量については、ネットワークメタ解析で1日750mgを12週間続けた群がもっとも成績がよかったとされています※3。
ただし内服には重要な前提があります。日本で処方されるトランサミン錠は、効能・効果に肝斑が含まれていません(適応外使用)。この点を含めた薬の詳細は「シミの飲み薬・塗り薬は効く?市販薬と処方薬の違い」にまとめました。
レーザーは、土台が整ってから低出力で加えます。当院では診察で肝斑の要素を確かめたうえで、ピコトーニングまたはスペクトラを選びます。混在型の場合は、先に内服で肝斑を落ち着かせてから、老人性色素斑にスポット照射を行う順序をとることがあります。
「自分のシミは、レーザーを当てていいタイプ?」
肝斑が混ざっているかどうかは、見た目だけでは判断が難しいことがあります。迷ったら照射の前に診察でお確かめください。
📞 026-235-3514(長野市三輪・上野医院/美容予約専門) ご相談だけでも承ります。
当院の料金(税込)
| 施術 | 料金 |
|---|---|
| スペクトラ(肝斑) | 11,000円/全顔・1回 |
| ピコトーニング(肝斑・くすみ・肌質改善) | 27,500円/全顔・1回 |
| ピコトーニング 3回コース | 59,400円 |
| ピコトーニング 5回コース | 99,000円 |
| 美白内服セット(トランサミン・ユベラ・シナール) | 4,400円(レーザー治療併用時 3,960円) |
| トラネキサム酸ローション | 3,300円 |
| ハイドロキノンクリーム(10g) | 3,300円 |
治療回数・期間の目安: レーザーは3〜5回程度を目安に、3〜4週間ごとに行います。内服は3ヶ月を一区切りとして経過をみます。効果の感じ方には個人差があります。
主なリスク・副作用: 照射後の赤み・ヒリつき・腫れ、炎症後色素沈着(かえって濃くなる)、色素脱失(まだらに白く抜ける)、まれに水ぶくれ。肝斑は再発しやすく、治療を止めると戻ることがあります。内服では吐き気・食欲不振・まれに血栓症のリスクがあり、血栓症の既往がある方やピル服用中の方は服用できないことがあります。
自由診療(保険適用外)です。
お問い合わせ: 026-235-3514(美容予約専門)/長野市三輪4-6-2
適応外使用・未承認医薬品についてのご説明
肝斑に対するトラネキサム酸の内服は適応外使用です。国内で承認されているトランサミン錠の効能・効果に、肝斑およびシミは含まれていません。入手経路は国内の正規流通品で、当院医師の判断のもと処方しています。同一成分で肝斑に承認された医療用医薬品は国内にありません(市販の第1類医薬品には「しみ(肝斑に限る)」で承認されたものがあります)。諸外国では肝斑に対する使用が広く研究され、複数の比較試験で有効性が報告されています※2※3。適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
ハイドロキノンは、シミ・肝斑を効能として国内で承認された医薬品がありません。当院でお渡しするクリームは院内取り扱い品です。海外では美白外用として長く使われていますが、高濃度・長期の使用と色素異常との関連が報告されています。医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
よくある質問
Q1. 肝斑かどうかは自分で分かりますか?
手がかりはあります。頬骨のあたりに左右対称で、輪郭がぼやけ、季節や体調で濃さが変わるなら肝斑の要素を疑います。ただし老人性色素斑と混ざっていることが多く、最終的な判断は診察で行います。
Q2. 肝斑があると、シミ取りレーザーは一切できませんか?
できないわけではありません。順番と出力の問題です。先に遮光と内服で肝斑を落ち着かせ、そのうえで老人性色素斑に絞って照射する方法をとることがあります。
Q3. 一度濃くなってしまった場合、元に戻りますか?
炎症後の色素沈着は、時間とともに薄くなっていくことが多いです。ただし数ヶ月かかることがあり、その間の遮光と内服が回復を後押しします。自己判断で照射を重ねないことが大切です。
Q4. 治療をやめたら、また濃くなりますか?
肝斑は再発しやすい状態です。内服の比較試験でも、服用を中止した後に差が縮まることが示されています。薄い状態を保つには、遮光と摩擦を減らす習慣を続けることが要になります。
Q5. 何回くらいで変化を感じますか?
レーザーは3〜5回、内服は3ヶ月ほどを一区切りとして経過をみます。1回で劇的に変わる治療ではありません。感じ方には個人差があります。
まとめ|「当てる前に、見分ける」
肝斑と老人性色素斑は、見た目が似ていても治療の順序が違います。輪郭・場所・左右対称性・濃さの変動・摩擦との関係——この5つを見れば、ご自身でもある程度の見当はつきます。
そして肝斑が混ざっているなら、最初にすべきはレーザーではありません。遮光と内服で土台を整えてから、必要な分だけ低出力で加える。遠回りに見えて、結局はこれが近道です。
関連ページ
- シミ取り・肝斑治療|長野市の上野医院(診断の進め方・機器・症例)
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- シミの飲み薬・塗り薬は効く?市販薬と処方薬の違い
- シミ取りレーザーは1回で取れる?回数・期間・経過
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参考文献(URL実在確認済み)
※1 The Low-Fluence Q-Switched Nd:YAG Laser Treatment for Melasma: A Systematic Review. Dermatol Ther (Heidelb). 2022: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9323185/
※2 Efficacy and Safety of Tranexamic Acid in Melasma: A Meta-analysis and Systematic Review. Acta Derm Venereol. 2017: https://www.medicaljournals.se/acta/content/html/10.2340/00015555-2668
※3 The optimal dose of oral tranexamic acid in melasma: A network meta-analysis. Indian J Dermatol Venereol Leprol: https://ijdvl.com/the-optimal-dose-of-oral-tranexamic-acid-in-melasma-a-network-meta-analysis/
監修: 上野 琢郎(整形外科専門医/整形外科・美容外科 上野医院)
最終更新日: 2026年9月15日
